スキマ時間を生み出せる介護サービス!認知症介護の訪問介護とは?

認知症の親を自宅で介護していると、「この時間だけ誰かに介護を変わってもらえないだろうか?」「認知症とはいっても、日中は一人で生活できそう。ただお昼の薬のことだけが心配で…。」といった悩みが出てくることがあります。

こういった介護者の悩みや負担を軽減できるのも介護サービスの強みです。今回は在宅介護生活を送る認知症の方やその家族が利用することの多い「訪問介護(ホームヘルプサービス)」について紹介しましょう。

訪問介護ってどんなサービス?

訪問介護とは、在宅介護で生活している利用者の自宅を訪問介護員(ホームヘルパー)が訪れ、必要な介護や生活支援を行うサービスです。認知症の方に限らず、介護を必要とする多くの高齢者が利用しています。

基本的なサービス内容

実際に訪問介護員が自宅に訪れて行える具体的なサービス内容は、大きく以下の3つに分類できます。

・身体介護…食事、入浴、排泄、更衣、体位変換など直接利用者の体に触れて行う援助

・生活援助…掃除、洗濯、食事の準備、生活用品の買い物、薬の受け取りといった日常生活に必要な身の回りの援助

・通院時の乗車、降車などの介助…利用者が自宅から病院に通院する際に、乗車、移送、降車に対して介助や、病院での受信手続きなどを行う

勘違いされやすいサービス

上で紹介したサービス内容を読むと、自宅に訪問してくれる職員を「お手伝いさん」のような方だと理解してしまうかもしれません。しかし、訪問介護職員さんができるのはあくまで「利用者本人の生活支援」であり、利用者の家族の生活支援まではできません。

例えば、利用者が食べる食事を用意することはできても、利用者の食事の準備と一緒に家族の食事の準備はできません。ここを勘違いしてしまって、利用者の家族が訪問介護員にサービス外の無茶なお願いをしてしまうことがあるので気をつけましょう。また訪問介護員は、基本的に医療行為を行うことはできません。

他にも訪問介護員ができることできないことがあるので、線引が難しい支援や勘違いして依頼しやすい支援内容をまとめておきましょう。「◯」は訪問介護員に頼めること、☓は訪問介護員に頼めないことです。

移動の介助について

病院への付き添い、支払い、薬の受け取り、次回の通院の予約
訪問介護員自身が車を運転し、病院へ連れていく
病院で医師に対して病状を説明したり、医師からの説明を聞く

健康管理について

薬の服用の手伝い
ケガでできたかすり傷の処置(簡単なものであれば、認められることもあります)
自動血圧測定器での血圧の測定(測定器を使う場合は、医療行為にあたらないのでOK)
指圧やマッサージ
たんの吸引(一定条件のもとであればOK)

生活援助について

利用者の家族の分まで食事を作る
利用者が使っている布団を干したり、たたむ
利用者の日常的な買い物への付き添い
銀行や役所への付き添い
利用者が専用する居室などの掃除
利用者以外も使うトイレの掃除(利用者しか使わないトイレであれば、掃除可能)
クリーニング出しや受け取り
日常的なゴミ出し
家具や家電などの大型のゴミ出し
大掃除のように日常的な掃除を逸脱する掃除

その他

自宅へかかってきた電話の対応
郵便物や宅配便の受け取り
利用者の金銭管理
ペットへのえさやり

※あくまで一例であり、地域によっても判断が異なる場合があります。
訪問介護利用の際には、事前にできること、できないことを確認しておきましょう。

訪問介護の利用条件

介護保険の訪問介護サービスを利用できるのは、要介護1以上の認定を受けている方です。要支援1~2の認定を受けている方は、「介護予防訪問介護」として同様のサービスを受けられます。

費用

実際に介護サービスを利用するとなると、どのくらいの費用がかかるかは特に気になりますよね。

介護サービスの費用は、サービスごとに定められた「単位」を元に計算されます。訪問介護は、サービスの種類が大きく「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」の3つに分けられており、それぞれ単位数が設定されています。

1単位あたりの単価は10円ほど(地域によって1単位あたりの単価に差があります)となっているので、計算すると訪問介護の利用でかかるおおよその費用は以下のようになります。

サービス種別 利用時間 単位数 自己負担額
身体介護 20分未満 165単位 165円
20分以上30分未満 248単位 248円
30分以上1時間未満 394単位 394円
1時間以上1時間30分未満 575単位 575円
生活援助 20分以上45分未満 181単位 181円
45分以上 223単位 223円
通院等乗降介助 98単位 98円

参考 厚生労働省 平成30年度介護報酬改定における 各サービス毎の改定事項について

認知症で訪問介護を利用するメリット・デメリット

実際に認知症で訪問介護を利用する場合のメリット・デメリットを紹介しましょう。

訪問介護利用のメリット

訪問介護の一番のメリットは、1日の中で家族が安心して家を空けられる時間を作れるという点でしょう。

症状の程度にもよりますが、子供からすれば認知症の親を自宅で一人っきりにさせるのは不安が残りますよね。訪問介護を利用すれば、1日の中の数時間だけではありますが、子供が安心して家を空けられる時間を作れます。

この数時間で普段はできないような用事を済ませることもできますし、24時間認知症の親の介護に向き合っている人の休憩時間にもなり得るのです。もちろん、子供が自宅を空けている間は訪問介護員によって適切な介護や生活支援を受けられるので安心です。

訪問介護利用のデメリット

訪問介護を利用するということは、見ず知らずの訪問介護員を自宅にあげるということです。回数を重ねて信頼関係を築ければ良いですが、そこに至るまでの間の抵抗感をどうクリアするかがひとつの課題です。

また、認知症だと感情的な記憶、言葉の理解のしにくさ、思考力の低下などさまざまな理由から介護職員さんの自宅への訪問を拒否してしまうことも珍しくありません。一般的な高齢者の方でも介護拒否をされることはありますが、認知症の方だと一度介護拒否をされてしまうと、そこから立て直すのが難しいかもしれません。

まとめ

認知症の親を在宅介護していると、親を自宅に一人にしておけないせいで、ちょっとした買い物や役場へ用事を済ませにいくことも難しくなります。

そんなときは、訪問介護員によって数時間だけ自宅で生活する親の介護や生活援助をしてもらえる訪問介護サービスの利用がおすすめです。一度に利用できる時間は短めですが、このちょっとした時間があるおかげで在宅介護を続けられているという方も珍しくありません。

他にも在宅で認知症の親を介護する場合に役立つ介護サービスはたくさんあるので、積極的に利用を検討していきましょう。